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「16時間断食をすると、筋肉が落ちてしまうのでは?」
「筋肉を増やしたいなら、1日3食しっかり食べないといけない?」
最近はダイエットや健康管理の方法として、16時間断食を取り入れる方も増えています。
一方で、筋トレをしている方にとって気になるのが、筋肉への影響です。
筋肉を増やすには十分な栄養が必要ですが、食事をとる時間を短くすると、筋肉の成長に悪影響が出るのでしょうか。
2026年7月13日、栄養学の学術誌『The Journal of Nutrition』に、この疑問を検証した新しい研究がオンライン公開されました。
その結果、16時間断食を取り入れたグループでも、通常の食事グループと同程度の筋肉量と筋力の増加が確認されました。
ただし、断食をすれば筋肉が増えやすくなるという意味ではありません。
今回は、この最新研究の内容と、筋肉を増やすために本当に大切なことを分かりやすく解説します。
① 16時間断食とは?筋トレとの相性は?
16時間断食とは、1日のうち16時間はカロリーのある飲食を控え、残りの8時間に食事をとる方法です。
研究では「時間制限食(Time-Restricted Eating:TRE)」と呼ばれています。
例えば、食事時間を12時〜20時に設定した場合、昼食を12時、間食やプロテインを16時、夕食を19時頃にとり、20時から翌日の12時までは断食するという生活になります。
断食中は、水や無糖のお茶など、カロリーのない飲み物を中心に過ごします。
この方法の特徴は、食べるものだけでなく、「何時から何時まで食べるか」を決めることです。
しかし、筋肉を増やしたい場合には、少し気になる点があります。
筋肉の成長には、筋トレによる刺激に加えて、十分なエネルギーとタンパク質が必要です。
食事時間を8時間に制限すると、必要な栄養を十分に摂取できなくなる可能性があります。
では、実際に16時間断食をしながら筋トレを続けると、身体はどう変化するのでしょうか。
② 2026年の最新研究|12週間で筋肉量はどう変わった?
2026年7月13日にオンライン公開された研究は、ドイツのIST応用科学大学、ミュンヘン工科大学、ドイツ体育大学ケルンなどの研究者によって実施されました。
研究では、筋トレ経験のある健康な男女23人を対象に、12週間の比較試験を行っています。
参加者は、16時間断食を行うグループと、通常の食事時間で栄養を摂取するグループに分けられました。
両グループとも週3回の全身筋力トレーニングを実施し、筋肉を増やすために、1日の消費エネルギーより300〜500kcal多く摂取するよう指示されました。
つまり、今回の研究は減量中ではなく、筋肉を増やすための増量期に16時間断食を取り入れるとどうなるかを調べたものです。
12週間後、16時間断食グループでは筋肉量が平均1.07kg増加し、通常の食事グループでは平均1.13kg増加しました。
除脂肪量についても、16時間断食グループで平均1.34kg、通常の食事グループで平均1.38kg増加しています。
さらに、ベンチプレスの最大筋力は16時間断食グループで平均12.95kg、通常の食事グループで平均11.04kg向上しました。
デッドリフトの最大筋力も、それぞれ平均26.36kg、26.04kg向上しています。
筋肉量と最大筋力は、どちらのグループでも増加し、両グループの増加量に統計的に明確な差は確認されませんでした。
筋トレ経験者であっても、16時間断食を取り入れながら筋肉や筋力を伸ばせたという点は、興味深い結果です。
ただし、参加者は23人と少なく、筋肉量の測定には体内の水分状態などの影響を受ける生体電気インピーダンス法が使われています。
そのため、今回の結果だけで、あらゆる人に16時間断食が適していると結論づけることはできません。
③ 断食グループは体脂肪の増加も少なかった
今回の研究では、筋肉量だけでなく、体重と体脂肪量にも違いがみられました。
12週間で、16時間断食グループの体重は平均2.19kg増加したのに対し、通常の食事グループでは平均3.90kg増加しました。
さらに、体脂肪量は16時間断食グループで平均2.00kg、通常の食事グループで平均4.36kg増加しています。
通常の食事グループと比較して、16時間断食グループでは体重と体脂肪量の増加が小さくなりました。
この結果だけを見ると、
「16時間断食をした方が、脂肪を増やさずに筋肉をつけられるのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、ここには重要な注意点があります。
16時間断食グループは、研究者が指示した量よりも摂取カロリーが少なかったのです。
さらに、タンパク質や炭水化物の摂取量も目標より少なくなっていました。
つまり、体脂肪の増加が小さかった理由は、断食による特別な代謝効果ではなく、食事時間が短くなったことで、結果的に摂取カロリーが抑えられたためとも考えられます。
今回の研究から分かるのは、「16時間断食をすれば、同じカロリーでも脂肪が増えにくくなる」ということではありません。
むしろ、食事時間を制限すると、意図せず食事量が減る場合があるという点も重要です。
④ 筋肉を増やすには「食べる時間」より何が大切?
では、筋肉を増やしたい方は、16時間断食を取り入れるべきなのでしょうか。
今回の研究から考えると、必ずしもそうとは限りません。
特に大切なのは、次の3つです。
1.必要なタンパク質を確保する
筋肉の成長には、筋トレによる刺激だけでなく、筋タンパク質の材料となるタンパク質が必要です。
一般的に、筋トレを行う方では体重1kgあたり1日約1.4〜2.0gが摂取量の目安として用いられています。
例えば体重70kgなら、1日約98〜140gです。
16時間断食を取り入れる場合でも、このような必要量を確保できるかが重要になります。
2.目的に合った摂取カロリーにする
筋肉を積極的に増やしたい場合、必要なエネルギーが不足し続けると、筋肉の成長に不利になる可能性があります。
反対に、体脂肪を減らしたい場合には、摂取カロリーの管理が重要です。
つまり、同じ16時間断食でも、筋肉を増やしたい人と体脂肪を減らしたい人では、食事の考え方が異なります。
3.筋トレの質と継続を大切にする
今回の研究では、両グループとも週3回の筋トレを12週間継続しています。
筋肉が増えた背景には、適切なトレーニング刺激があったことも忘れてはいけません。
また、16時間断食グループは食事可能な時間帯にトレーニングを行っていました。
そのため、今回の結果をそのまま「16時間何も食べずに筋トレをしても、同じ効果が得られる」と解釈することはできません。
食事時間を制限すること自体よりも、必要な栄養を確保し、質の高い筋トレを継続できることが大切です。
⑤ 16時間断食は、自分の生活に合うなら選択肢になる
今回の研究で注目したいのは、16時間断食をしても筋肉が増えたという結果だけではありません。
食事時間を短くすることが、必ずしも筋肉の成長を妨げるわけではないという点です。
一方で、16時間断食の方が筋肉を増やしやすいという結果でもありません。
朝食を食べた方が体調が良い人もいれば、朝はあまり食欲がなく、昼から食事をとる方が生活に合っている人もいるでしょう。
大切なのは、流行している方法を無理に取り入れることではなく、自分の生活や目的に合わせて食事を考えることです。
例えば、16時間断食によって空腹感が強くなったり、トレーニング中に力が出なくなったり、必要な栄養を摂取できなくなったりするのであれば、食事時間を見直した方がよいかもしれません。
反対に、無理なく続けられ、必要な栄養も十分に確保できるのであれば、ひとつの選択肢になります。
Private Gym Dand.Aでは、筋トレの内容だけでなく、生活習慣や食事、休養なども含めて、一人ひとりの目的に合わせた身体づくりを大切にしています。
筋肉を増やしたい。
体脂肪を減らしたい。
健康的な身体を維持したい。
目的によって、適切な方法は変わります。
大切なのは「何時間食べないか」ではなく、「自分の身体に必要なものを、きちんと満たせているか」。
16時間断食も、筋トレも、目的を達成するための手段のひとつです。
無理なく続けられる方法を選び、少しずつ理想の身体に近づいていきましょう。
記事を書いた人
Dand.A